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co-en ヒト語り vol.5 -[シェアオフィス]むすびつくば

はたらく、遊ぶ、集まる、など様々な使い方ができるco-en。

そんなco-enではどんな活動が行われているのか、利用者の皆様へのインタビューを通してお届けします。

第5回となる今回はco-enシェアオフィスの「むすびつくば」を共同で運営するNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所の小野村様、ウニベルシタスつくばの徳田様にお話を伺いました。

目次

  • 子どもから大人までみんながむすびつく場
  • 地域と関わりやすいco-en
  • 共同運営団体間の交流
  • より幅広い年齢、幅広いテーマに拡大

子どもから大人までみんながむすびつく場

ー どんな活動をしていますか?

むすびつくばは、ライズ学園、市民大学、リブラリウムという3つの機能を持っています。ライズ学園を運営しているのがリヴォルヴ学校教育研究所で、市民大学とリブラリウムを運営しているのがウニベルシタスつくばという団体です。

 

(小野村様)

リヴォルヴ学校教育研究所は2000年から、不登校やLD(Learning Differences:)などといわれる状態にある子どもたちの支援に取り組んでいます。実践の成果をまとめた教材を開発販売したり、個性豊かな子どもたちの育ち対する理解を深めるための講座を開催したり、さまざまな団体と協働して「子育ち」を支える活動に取り組んでいます。

フリースクールや通信制高校など、以前に比べれば選択肢は増えていると思います。しかしその先を考えた時には、地域との連携を大事にしたいと以前から考えていました。つくば市民大学では、スタッフが様々な講座を通じて多くのことを学んでいたこともあって、今回、ウニベルシタスの皆さんと一緒にむすびつくばを始めたいと思いました。つくば市外も含め、つくばエリアに住むみんなで「むすびつくことができる場所」を作りたいと思っています。

 

(徳田様)

ウニベルシタスつくばは2009年から9年間、つくば市民大学を別の場所で運営していました。2018年の最終講座以降、休眠状態となっていたのですが、リヴォルヴ学校教育研究所さんから「より広く子育ち、子育て、学び合いを実現していく場にしたい」とのお話をいただき、一緒にスタートしました。

ですので、市民大学自体は、以前の事業の再開という形になりますが、co-enで再開するにあたって、「みんなでその場を支えていく」ということを目にみえる形にするという意味で、一箱本棚オーナー制度の図書館をつくりました。これが「リブラリウム」で、本を通じて人と人がつながっていく未来を実現したいと考えています。

 

(小野村様)

大人が子どもを育てる『子育て支援』に対して、『子育ち支援』は一人一人がその子らしく育つことをサポートするという考え方です。

これに関連して、市民大学で学んできた中で一番私たちにとって大きいなと思っていることは、ファシリテーションです。私は元公立学校の教師で、教える・育てるということをしてきたわけですが、実は子どもたちって、ちょっとしたタイミングでちょっとした一言を添えるだけで、自分の力でどんどん発見していったりします。『子育ち』でも『子育て』でも、今後は、私たちが「何かをしてあげる」のではなく、ファシリテーションを大切にしたいと思っています。

 

地域と関わりやすいco-en

ー co-enを選んだ理由を教えてください

(小野村様)

子どもたちが部屋にこもりきりにならない場所というのが、選んだ理由の一つです。他の候補もありましたが、雑居ビルの3階などとなると1日中そのビル、その部屋の中で過ごすこととになってしまうと思いました。co-enではすぐそばに噴水の広場もありますし、実際に子どもたちも毎日のように噴水や広場で鬼ごっこをして遊んでいますね。また利便性の高い場所にあるので保護者さんの送迎の負担が大きくならないという点も魅力的でした。

また実際に入居して過ごしてみると、非常に出会いのある場だと感じます。徳田さんたちと一緒に始まったということで注目を集めたこともありますが、ウニベルシタスの皆さんの知り合いが私たちと繋がったり、たまたま通りがかった知り合いと事業の話になったり。オフィス周辺は多くの方が通るのでわざわざアポを取らずとも情報共有できることが多いです。これはco-enのアドバンテージだと感じます。

 

ー co-enの使い方を教えてください

(小野村様)

月曜日から金曜日の日中は、不登校などと言われる状態にある子どもたちの教室を開いています。co-enの雰囲気は学校のイメージよりも少し都会的ですが、オフィスの中に絨毯を敷いたりしたことで、子どもたちは床に寝っ転がって遊んだりリラックスして過ごしています。

平日の夜は、まだ試行の段階ですが、学校には通っているけれど少ししんどい思いをしている子の学び支援を行っていきたいと考えています。 

私自身はオフィスとコワーキングを行き来しながら作業しています。コワーキングからは広場で遊ぶ子どもたちの様子をガラス越しによく見ることができるので、私たちの精神的にも良いです。

 

(徳田様)

休日は私たちウニベルシタスつくばが市民大学とリブラリウムを運営しています。リブラリウムは一箱本棚オーナー制度でつくる図書館ですので、オーナーになってくださった方に、市民大学での講座やイベントの開催をご提案いただけるようにしています。つまり市民大学は、私たちが企画・運営する講座だけでなく、オーナーの方々が企画・運営する講座もあるということです。

またリブラリウムは、ふらっと立ち寄って、本を手に取っていただくことができる場ですが、co-enは通りがかる人が多くいらっしゃるので魅力に感じます。特に小さいお子さんを連れた子育て世代の方が、周辺のイベントに合わせてちょっと覗きにきてくださったりしています。

そして「こういった方が多くいらっしゃいます」という情報をオーナーの方々に共有すると、子どもたち向けの本を置いてくださったりするので、本と人が出会う場所、そして本を通じて人と人が出会う場所になりつつあるなと感じています。

 

共同運営団体間の交流

ー 一箱本棚オーナーにはどんな方がいらっしゃいますか?

(徳田様)

様々な方がいらっしゃいます。つくば市外の方も4割ほどおり、千葉県、東京都、長野県など県外の方もいらっしゃいます。属性もさまざまですが、子どもに関わる方、カウンセリングなど対人支援に携わる方などが多いかもしれませんね。

オーナーの方に必ず伝えているのは、この場所のカラーです。「土日は地域のことを考えたいという意識を持った方々が市民大学に集まる」「平日はいわゆる不登校と呼ばれる状態にある子どもたちが通ってくる」「通りがかる人は子育て世代が多い」といった情報を伝えて、そういう人たちに読んで欲しい本を置いてもらうようにお願いしています。

 

ー ライズ学園とリブラリウムのつながりはありますか?

(徳田様)

リブラリウムではノートや付箋を置いて、メッセージのやり取りや感想を共有する工夫をされている方もいらっしゃいます。あるとき、新品のゲームを置いて下さったオーナーさんがいらっしゃったのですが、ライズ学園の子どもたちの中で「これ、使っていいのかな」という話になって、付箋にお手紙を書いたんです。オーナーさんが遠方の方だったので、私がメッセージのことを伝えて返信を代筆しました。もちろん使っていいですよ、と。このようなやりとりで繋がっていることは私たちとしても、オーナーさんとしても非常に嬉しいです。

 

(小野村様)

他にも本を通じて人と人が繋がることがありました。それはライズ学園に通う子があることで悩んでいて、なかなかその悩みを言い出せない状況にあった時、その悩みに関連する本がリブラリウムに置いてありました。私たちもそのオーナーさんのことをよく知っていたので問い合わせたところ、その子の悩みが新しい段階に、プラスの方向に歩むきっかけとなりました。なかなか言えないことや悩みについて、本を通じてコミュニケーションを取れたのだと感じました。

 悩みがあっても言い出せない状況にあった子が、リブラリウムに置いてあった本を通じて本棚オーナーさんとつながったということもありました。私たちもよく知ったオーナーさんでしたが、その子の悩みが新しい段階に、プラスの方向に歩むきっかけとなったようです。

毎週木曜には10分間の『お昼の会』をリブラリウムの前で行い、スタッフから子どもたちに、様々なジャンルの本や新聞記事、本棚オーナーさんの紹介などをしています。子どもたちがリブラリウムや本に興味を持ってくれることはもちろん、いろんな人が本を置いてくれて入れ替わるリブラリウムを通じて、ライズ学園が様々な人や地域に支えてもらっていると実感できる場になっていると思います。

 

より幅広い年齢、幅広いテーマに拡大

ー 今後やってみたいことや展望について教えてください

(小野村様)

ライズ学園としては、より幅広い団体や個人とつながっていきたいと考えています。例えば先日、つくばセンターで開催されていたイベントにてお隣でプレイパークを運営されている方がいらっしゃいました。ライズ学園にはベーゴマがあるのですが、得意なスタッフが引退してしまったところでしたので、プレイパークの皆さんにベーゴマを教えてくださいとお願いしました。今年は、つくば警察署の方に自転車の交通安全シミュレーターを持参いただいて交通安全教室を開きました。スポーツや料理など様々な分野の方が協力してくれていますが、さらに活動の幅を広げていきたいです。

また、今不登校がすごく増えていると言われていますが、実質的に不登校、またはそれに近い状態にある子を入れると、現在の数の2倍3倍になるとも言われているんですね。そういった子どもたちの体験的な学びの機会を充実していきたいです。

最後にもう一つは、異なる年齢の交流をもっと広めたいと思っています。これはまだ実現していませんが、リブラリウムの本棚オーナーさんとライズ学園の子が共通する趣味を通じて友達になる、といった交流ができるといいですね。徳田さんが民主主義や気候変動など幅広いテーマで活動されているので、子どもたちが興味を持った部分に一歩踏み出せると「こんなふうに真剣に考えている大人もいるんだ」と感じたり、学校の授業では面倒に思われる素朴な疑問についても、真剣に一緒に話し合ってくれる人との出会いがあったりするのではないかと思います。

 

(徳田様)

まずは、今やっていることをしっかりと軌道に乗せていきたいですね。市民大学の講座の数を増やして、常に「何かやっているね」という状態にしていきたいです。

また、co-enが開催しているイベントとも連携していきたいですね。例えば、co-en主催のイベントと同じテーマで、少し角度を変えたイベントを次の週に私たちが開催するなど、うまく連携する方法をco-en運営の皆さんと一緒に考えていければと思います。